📌先端研酒井研OBの阿部陽平さんの論文がMolCell誌にアクセプトされました

UCSDのGlass研に留学中の酒井研(東大先端研)OB 阿部陽平さんの論文がMol Cell誌にオンライン掲載されました。

【論文情報】
タイトル:RANK ligand converts the NCoR/HDAC3 co-repressor to a PGC1β- and RNA-dependent co-activator of osteoclast gene expression.(RANKリガンドは破骨細胞遺伝子を発現するために、NCoR/HDAC3コリプレッサーをPGC1bおよびRNA依存的にコアクチベーターに変換する)

著者: Abe Y, Kofman ER, Almeida M, Ouyang Z, Ponte F, Mueller JR, Cruz-Becerra G, Sakai M, Prohaska TA, Spann NJ, Resende-Coelho A, Seidman JS, Stender JD, Taylor H, Fan W, Link VM, Cobo I, Schlachetzki JCM, Hamakubo T, Jepsen K, Sakai J, Downes M, Evans RM, Yeo GW, Kadonaga JT, Manolagas SC, Rosenfeld MG, Glass CK.

 

【論文のポイント】

・マクロファージ特異的にNCoR (nuclear receptor co-repressor) をノックアウトしたマウスの骨密度が高いこと、その表現型が破骨細胞分化の異変に起因することを発見しました。

・破骨細胞を誘導する RANK リガンド刺激依存的に、NCoR/HDAC3/PGC1b 複合体が破骨細胞特異的遺伝子上に局在し、遺伝子の転写を活性化することを発見しました。

・NCoR/HDAC3 が PGC1b と結合すると、HDAC3 はヒストンではなく選択的に PGC1b を脱アセチル化するため、遺伝子の転写が活性化されることを発見しました。

・さらに、NCoR/HDAC3 と PGC1b との結合は、ノンコーディング RNA (Dancr, Rnu12) によって仲介されており、これらノンコーディング RNA のノックダウンでも破骨細胞分化が抑制されることを確認しました。

・ノンコーディング RNA (Dancr, Rnu12) 発現が骨粗鬆症や関節炎症患者の血中で高値を示すことが知られており、NCoR/HDAC3 の酵素活性や、これらノンコーディング RNA を標的とした新たな骨疾患治療薬への応用が期待されます。

・また、この発見は、NCoR の名前の通り、従来、遺伝子の転写を抑制する分子 (コリプレッサー) として知られているものが、シグナル依存的に遺伝子の転写を促進する分子 (コアチクベーター) として機能するというもので、生物学に新たな知見を与えました。

この論文はMollCell誌の Previewsでも紹介されています。

 

おめでとうございます!